「食事中に差し歯が外れてしまった!」
そんな経験はありませんか?
差し歯は、むし歯や外傷などで失った歯の見た目や機能を補うために作られた人工の歯です。
実は、ちょっとした食べ物の選び方や噛み方によって、思わぬタイミングで外れてしまうことがあります。
今回は、差し歯が外れやすい食べ物について詳しく解説しながら、差し歯を長く安定して使い続けるためのポイントをご紹介します。
差し歯が外れる原因とは?
差し歯が外れる原因はさまざまですが、大きく分けて以下の3つが挙げられます。
1.接着剤(セメント)の劣化
時間が経つと、差し歯を固定している接着剤が劣化してきます。
これにより、しっかりとくっついていた差し歯が少しずつ緩み、外れやすくなることがあります。
2.土台の歯の損傷や虫歯
差し歯は「被せ物」であり、内部には土台となる歯が残されています。
この歯がむし歯になったり、脆くなったりすると、差し歯をしっかり支えられなくなります。
3.強い咬合力(噛む力)や、引っ張る力
「引っ張る力」は、差し歯にとって大きな負担です。
特定の食べ物を噛んだり引きちぎったりすることで、外れてしまうことがあります。
外れやすい食べ物ベスト5
それでは、具体的にどのような食べ物が差し歯にとってリスクが高いのでしょうか?
患者さんの体験などから、特に注意していただきたいものを5つご紹介します。
1.お餅・団子類
粘着力が強く、歯にくっつきやすいお餅や団子は、差し歯にとって大敵です。
特に焼いたお餅は粘り気が増し、噛みちぎる際に差し歯が引っ張られてしまいます。
正月明けに差し歯が外れたという相談が、実は多かったりします。
2.ガム・キャラメル
こちらも粘着力の強い代表格。
噛んでいる間に差し歯をぐいぐい引っ張り、気づけば一緒に外れていた、なんてこともあります。
特に「詰め物」や「仮歯」の段階で食べるのは避けた方がよいでしょう。
3.バゲット・固いパン
いわゆる「ハード系のパン」やクラッカーのようなものは、咬合力を大きく必要とするため差し歯に強い圧がかかります。
また、上下の歯で前歯を使って引きちぎる動作は差し歯が抜ける典型的な動きです。
食べる際は小さくカットしてからにするのがベストです。
4.スルメ・干し芋
噛みごたえがあり、長時間口の中で咀嚼する食品も要注意です。
繊維質で、引っ掛かりやすいのも特徴です。
差し歯のわずかな隙間に入り込み、じわじわと緩ませていく恐れがあります。
5.りんご・とうもろこし
「ガブリ」とかじりたくなるこれらの食品も、差し歯にとっては危険です。
特に前歯に差し歯がある方は要注意。差し歯が浮いたり、土台が痛んでしまうこともあります。
スライスしたりほぐしたり、工夫していただくと安心です。
差し歯を長持ちさせるには?
差し歯が外れやすい食べ物を避けることも大切ですが、普段の生活で気をつけていただくと、差し歯を長持ちさせることができます。
1.噛む力の偏りに注意
片側ばかりで噛んでいると、差し歯に過度な負荷がかかります。
左右バランスよく使うことで負担を分散させましょう。
2.就寝時の食いしばり・歯ぎしり対策
就寝中の無意識な歯ぎしりや食いしばりは、差し歯に大きなダメージを与えます。
心当たりのある方は、ナイトガード(就寝時用マウスピース)の使用について、医院で相談してみてください。
3.定期検診で差し歯の状態をチェック
差し歯の接着状態や、土台の健康状態は、見た目だけではわかりません。
半年〜1年に一度のペースで歯科医院にてチェックを受けることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
万が一、外れてしまったら?
差し歯が外れてしまった場合、「そのまま使えそうだから」と自己判断で戻すのは危険です。
無理に戻すと土台の歯を傷つけたり、誤って飲み込んでしまうリスクもあります。
外れた差し歯は清潔な容器に保管し、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
時間が経つほど再装着が難しくなる場合もあります。
最後に
差し歯は見た目や噛む機能を補ってくれる大切なパートナーです。
だからこそ、少しの注意と心がけで、その寿命は大きく変わってきます。
食べ物の選び方や噛み方を工夫し、定期的なメンテナンスを忘れずに行うことで、差し歯をより長く快適に使い続けることができます。
「これって食べて大丈夫かな?」と不安なものがあれば、ぜひお気軽に当院までご相談ください。
私たちはこれからも、あなたの歯と健康を全力でサポートしてまいります。